英語授業のみちしるべ

中学校英語授業についてつづるブログ

「話すこと[やり取り]」の指導(帯活動編)

 現行の学習指導要領が実施されて早くも3年目となりました。今回の学習指導要領改訂で大きく話題になったことの一つが、「話すこと」のうち「やり取り」と「発表」の2領域が設定されたことです。詳しくは学習指導要領解説や様々なところで説明されているので割愛しますが、実際のコミュニケーションの場面を想定した『即興で話す』言語活動の実施が改めて求められることとなりました。

1 とにかく子供たちにやらせてみよう!

 長年、「学校の授業を受けても、全く英語を話せるようにならない。」と言われてきました。英語科の教員も話す力を伸ばしたい気持ちはありつつも、どのように「即興で話す」活動を設定していけばいいのか模索している先生方も多いことと思います。今回の記事では、私が日々帯活動で実施している帯活動の実践についてお話したいと思います。

 やり方は実にシンプル。トピックを提示し、やらせてみる。それだけです。授業者の立場から考えると、「生徒の話が続かなかったらどうしよう…」、「台本を作らせないとできないのではないか」など、多くの不安をもつことと思いますが、生徒を信じてやらせてみましょう。これが一番大切な心構えです。(こちらの予想以上にがんばって取り組んでくれます。)

2 私の実践について

 そうは言っても、生徒のつまずく原因を想定し対策を考えておくことはとても重要です。生徒の立場に立って、どのようなヒントがあれば活動に取り組みやすいか、生徒の実態を思い浮かべながら考えてみてください。私は以下の手順で指導しています。

①Topic、Useful Expressionsを導入する。

Small Talk

 私は電子黒板を活用し、まず上のようなスライドを提示します。Topicは何でも構いませんが、既習事項を主に取り扱います。色々な意見が出るものを設定するといいでしょう。Useful Expressionsでは会話を継続させるための表現を提示することが多いです。特に最初のうちは一問一答のような会話になってしまうことが多いので、"Tell me more."を使わせて考えを引き出させるようにしています。あいづちに関しては生徒も面白がって使うので、様々なものを教えてあげるとよいでしょう。

②デモンストレーションを行う。

 最初に見本を示してあげることも効果的です。私がアメリカの大学で勉強したときによく言われたのが、"I do. You do. We do."でした。この活動で達成してほしいゴールを授業者が示してあげることで、生徒の見通しをもった参加を促すことができます。なお、実際にデモンストレーションで答え方、情報の付け加え方、使ってほしい表現を強調して言ってあげるとよいです。ちなみにデモンストレーションの相手はALTでも生徒でもどちらでも構いません。生徒を選ぶ場合は、答える方を授業者が先に担当するなど配慮してあげてください。

③活動中の指導

 活動時間は生徒の実態によっても違いますが、1分〜2分程度を1セットとし、ペアを変えて2〜3セット実施します。質問者はじゃんけんで決めるのではなく、"I'm first." "After you."から選ばせて始めさせています。活動中は生徒の様子を歩き回って確認し、ヒントを出したり終わってしまったペアに話を継続するように指導したりしていきます。


こちらが考えている以上に、子供たちは英語を使って活動したいと考えています。最初はうまく盛り上がらなくても、毎回続けることが大切です。苦手に感じる生徒もいますが、私は「出川イングリッシュでもいいから、とにかくコミュニケーションを取ってみよう。それが英語上達への第一歩だよ!」と声掛けをしています。こちらの願いを子供たちに伝え、少しでも英語への抵抗感を減らしていってほしいと思います。